不動産投資にはさまざまな手法がありますが、私の知人に、サラリーマンを続けながら着実にワンルームマンション物件を増やし、安定した副収入を得ている人がいます。
彼は15年前に1戸目を購入し、現在までに計5戸を所有し年間で約450万円の所得を得るまでになっています。
以前、私が彼の帳簿付けを手伝った際の記録を振り返りながら、その運用実態をまとめました。
1. 運用物件の収支データ
以下は、彼が所有する東京都心の2物件における5年間の記録です。
物件A:東京都中央区(購入価格:1,990万円)
| 年度 | 収入 | 経費 | 所得(税引前) | 利回り |
| 平成28年 | ¥1,092,000 | ¥239,340 | ¥852,660 | 4.28% |
| 平成29年 | ¥1,174,100 | ¥284,590 | ¥889,510 | 4.47% |
| 平成30年 | ¥1,092,000 | ¥244,140 | ¥847,860 | 4.26% |
| 令和元年 | ¥1,174,100 | ¥331,750 | ¥842,350 | 4.23% |
| 令和2年 | ¥1,092,000 | ¥246,160 | ¥845,840 | 4.25% |
物件B:東京都渋谷区(購入価格:2,100万円)
| 年度 | 収入 | 経費 | 所得(税引前) | 利回り |
| 平成28年 | ¥1,241,000 | ¥387,311 | ¥794,849 | 4.06% |
| 平成29年 | ¥1,152,000 | ¥222,240 | ¥929,760 | 4.43% |
| 平成30年 | ¥1,241,000 | ¥282,644 | ¥958,356 | 4.56% |
| 令和元年 | ¥1,152,000 | ¥261,650 | ¥890,350 | 4.24% |
| 令和2年 | ¥1,241,000 | ¥293,860 | ¥947,140 | 4.51% |
一般的な不動産投資シミュレーションでは建物の価値は年々下がるものとされますが、これら都心の物件は価値が維持されており、物件Aについては現在の市場価格が購入時の1.5倍以上に上昇しているとのことです。
2. 物件の増やし方と運用のルール
彼は約15年前(平成23年頃)から、築10年前後の中古物件を中心に、2〜3年に1戸のペースで買い増しを行ってきました。初期の物件は現在、築25年を超えていますが、安定して稼働しています。
その運用の背景には、参考書の内容に従って定められた明確な基準がありました。
- 物件選定の条件:「東京都内人気の地区」「駅から徒歩10分以内」「築浅10年前後の中古」という条件
- 購入のステップの厳守:
- 最初の2戸目まではローンを組まず、現金で購入
- 3戸目から、所有する2戸を担保にしてローンを活用
- ローンを組むのは1戸ずつとし、完済するまで次の購入は行わない。
3. 実感としてのワンルームマンション投資
知人のケースを傍で見ていると、この投資法が成功したのは「非常に手堅いマージン」を取っていたからだと感じます。
利回り4%台という数字は、投資効率として決して高いわけではありません。しかし、都心の駅近物件という「外さない立地」を選び、借入を最小限に抑えながら進めることで、退職後を見据えた確実な資産形成となっていました。
巷では失敗例も多く聞かれるワンルームマンション投資ですが、厳しい条件設定と、無理のない資金計画を守った場合にのみ、成立する手法なのだということが分かります。
【コラム】実物不動産 vs リート:それぞれの正解
ワンルームマンションという「実物」の不動産を持つことは、管理費や修繕積立金といった決して少なくない維持コストを伴います。また、将来的な価格下落のリスクや、地震などの自然災害への不安も拭いきれません。
私個人の考えとしては、それらの不安要素や手間を考慮すれば、複数の物件に分散投資できる「リート(不動産投資信託)」を購入した方が、精神的にも安心ですし、利回りも効率的なのではないかと感じてしまいます。
しかし、実際に長年運用を続けている彼に言わせれば、視点が全く異なるようです。
- 価格変動は気にしない:
売却益(キャピタルゲイン)を目的とせず、一生持ち続ける「持ち切り」を前提としているため、目先のマンション価格の上下は運用に影響しない。 - 空室リスクへの絶対的な自信:
「東京都内の、常に人で溢れている駅近物件」であれば、入居者がいなくなる心配はまずない。収入の安定性については経験も踏まえて確信が持てている。 - 実物資産特有の強み:
リートにはない「担保」としての価値がある。いざという時には次の物件購入のための融資を引き出せるし、流動性の高い立地を選べば、現金化が必要な際もすぐに対応できる「優秀な資産」である。
そして何より、目に見える形で「実物」を所有しているという手応えは、何ものにも代え難い安心感を与えてくれるのだそうです。
ただし、そんな彼であっても、現在の不動産高騰(中古市場でも高騰)による「あまりに低い利回り」での新規購入については、さすがに慎重な姿勢を崩していませんでした。


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